LRT(ライト・レール・トランジット)

「LRT」とは、 「Light Rail Transit(ライト・レール・トランジット)」の頭文字を取った略称で、「次世代型ハイテク路面電車システム」のことです。

(「ライト」=「軽量」というのは、一般鉄道を「ヘビー」=「重量」と見なした対語になっています)

 

LRT用の車両は、「LRV」(ライト・レール・ヴィークル)と呼びます。

LRTは、街中で気軽に利用できる路面電車の利点と、一般鉄道が持っている利点の「良いとこ取り」をしたような交通モードです。

バスだと輸送力が不足するものの、鉄道を敷設するほどには投資できない場合などに適した中量輸送機関といえます。

 

中心市街地では駅と駅の間隔は300~500m程度と、比較的ゆっくり走って頻繁に停車しますが、郊外では駅と駅の距離が長めで、時速70~100km程度で高速運転します。

大きな特徴の一つは、地下鉄やモノレール、「ゆりかもめ」のような新交通システムに比べると整備費や維持費がかなり割安だということです。

 

地下鉄の場合、1km整備するには平均で約200億円、モノレールや新交通システムは約100億円かかるのですが、LRTは20~25億円程度(複線・電化・部分的な高架区間なども含む)で済みます。

 

また、モノレールや新交通システムと異なり、レールの上を走っていることから、線路の幅や車両の大きさ、信号システムなどの条件さえ合っていれば鉄道路線への乗り入れも可能になります。

電車内の床面の高さが路面から30cmほどと低い超低床型車両を使うと、駅のホームの高さは歩道と同じ程度の高さで済みます。

 

また、そこまで床面が低くなくても、ホームと電車の床面が同じ高さで、ホームまでスロープを設置するなどすれば、バリアフリー対策は十分行えます。

 

電車が走っている時の騒音や振動は少なく、快適に乗ることができます。

 

 

ドイツやフランスなどでは、中心市街地では路面電車として走り、郊外では日本で言えばJRのような鉄道路線にそのまま乗り入れて高速で走るといったことも頻繁に行われています。

 

アメリカでも、中心市街地での路面電車的な役割と、高速運転を行う郊外鉄道的な役割を併せ持った交通機関として各地で整備が進んでいます。