ご挨拶

ホームページリニューアルに寄せて

      市民団体「雷都レールとちぎ」代表 奥備一彦

 

 市民団体「雷都レールとちぎ」を設立して、8年と半年が過ぎました。

 その間、市民の皆様との対話集会、LRT模型(Nゲージ)の自主制作と参加イベントでの展示、アンケート調査、LRT設置への署名活動、各方面の有識者による講演会、冊子『よくわかる交通まちづくり』の出版、パンフレット作成・配布と、他都市の交通まちづくり団体との交流など、地道に活動を続けてきました。

 

 2012年半ばから2013年4月までに、宇都宮でのLRT導入に関して画期的な出来事が続いています。

 時系列でご紹介します。

 

1.市議会、首長、衆議院議員

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1-1 市議会に特別委員会設置

 

 「宇都宮東部地区の公共交通整備に関する陳情書」を宇都宮東部地区の8つの自治会連合会長や「雷都レールとちぎ」などの14の市民団体、合わせて22団体が市議会議長あてに提出しました。

 

 2012年6月議会においてこの陳情は採択され、同年9月、市議会内に特別委員会が設置。LRTを中心にした審議がこれまでに7回開催され、間もなく提言がまとめられます。

 

 特別委員会での議論は、「雷都レールとちぎ」も傍聴しています。

 

 参考までに、宇都宮市議会の定数は47人です。その内、LRT導入に賛成の議員は、 2013年5月30日現在、自民・維新・公明の各会派29人と、その他会派から1人の、計30人(63.8%)です。

 

1-2 県知事、宇都宮市長

 

 2012年11月に行われた宇都宮市長選挙は、LRT導入を公約の前面に掲げる現職の佐藤栄一氏と、それに反対する新人との一騎打ちとなりました。

 

 投票の結果は、現職が前回を2万票も上回る10万票強(得票率68%)、新人は4.2万票弱、無効票5千票で、現職が大差で三選を果たしました。

 

 同時に実施された知事選でも、宇都宮市長時代からLRT導入を推進している現職の福田富一氏が、これまでの知事選で最多の46万票余りを獲得して三選されました。

 

1-3 衆議院議員

 

 2012年12月に行われた栃木1区の衆議院議員選挙は、かつて「LRT推進議員連盟」の副会長を務めていた船田元氏が、LRT反対を訴える現職を大差で破って見事に返り咲きました。

 

 「LRT議連」は、設立当時は民主党議員が最多でした。2013年2月19日現在、総勢77人(自民・32、民主・28、公明・5、みんな・3、社民・3、共産・2、生活・2、維新・1、みどり・1)です(『人と環境にやさしい交通をめざす全国大会論集 2013 新潟』より)。

 

 

2.行政組織と予算

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 佐藤栄一市長は、2013年3月19日の市議会で、LRTの整備はJR宇都宮駅東部12kmを先行させること、同年3月に「LRT導入推進室」を「LRT整備推進室」に名称変更することを明言。担当職員は従来の6人から、4月からは10人に増強されました。

 

 特筆すべきは、LRT整備を確かなものにするために、国土交通省から幹部職員を副市長として迎え入れたことです。

 

 LRT関連予算は、前年度の3倍となる1億3千万円が事業化計画調査費として承認されています。 

 

 

 上述のように、予算の提出権者(市長)、それを審議・承認する期間(市議会)、そして予算を執行する行政官、更に市政をバックアップする県知事、国との強力なパイプ役としての衆議院、その上、国からの人的支援。

 ここに来てようやくベクトルが一致したトータルな体制が出来上がったといえます。

 

 

3.宇都宮市の基本方針

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 宇都宮市は2013年3月「東西基幹公共交通の実現に向けた基本方針」を示しました。

 その概要は次の通りです。

 

 ・宇都宮市は、人や環境にやさしく、持続可能な都市を目指し「ネットワーク型コンパクトシティ」を形成する。

 ・その基軸となる東西基幹公共交通には、LRTを整備する。

 ・計画区間は「桜十文字(中心市街地)~東武宇都宮駅~JR宇都宮駅~宇都宮テクノポリスセンター(鬼怒川左岸の工業団地)」(約15km)である。

 ・整備手順は、「JR宇都宮駅東側~宇都宮テクノポリスセンター」(約12km)を優先する。

 ・事業方式は「公設型上下分離方式」を採用する。

 ・関連バス網の構築、他の交通手段との連携、周辺道路の整備維持等を併せて実施する。

 

 

4.市民団体「雷都レールとちぎ」の2013年度の重点活動

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 公共交通は、それぞれの交通機関(モード)が勝手に運営されるのではなく、ネットワークを構築し、全体が有機的に機能するとき、定時性、速達性、快適性(待ち時間の短縮)が最良となり、利便性が向上して利用者が増加し、事業の収益も向上します。

 

 すなわち、ネットワークの経済性を発揮する方策を実現することがきわめて重要で、特に乗り換えバリアを可能な限り低くすることが肝要です。

 

 そのためには「宇都宮版 運輸連合」の設営が不可欠であるといえます。

 

 市民団体「雷都レールとちぎ」は、これまでの活動の継続に加え、2013年度は「運輸連合」に関しての勉強を重ねます。

 2014年度はその成果を踏まえ、「宇都宮版 運輸連合(案)」を発表する予定です。 

 

 これまでの世話人会で議題に上がった項目は次の通りです。

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 (1)間もなく国会で可決されるであろう「交通基本法」や関連法規(例えば独占禁止法等)の勉強

 

 (2)運輸連合の事例研究

   ネットワーク、電子マネー、初乗り運賃、構成メンバー、収支の配分と責任等に関して、

   ・論文の勉強や講演会の開催

   ・実例見学、体験(つくばエクスプレス、韓国の公共交通、等)

 

 (3)宇都宮版 運輸連合の提案

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 最後に、本会は宇都宮市が示した「基本方針」通り、当該プロジェクトが成就されるよう、市民サイドから活動します。

 会員の皆様には、忌憚のないご意見と、会の活動への積極的なご参加を切にお願いする次第です。