宇都宮市、LRTとバスなど公共交通で相互利用できるICカード(IC乗車券)導入の方針

宇都宮市は、2月19日に実施した市議会議員へのLRT事業説明会で、LRTとバスなどの公共交通で相互に利用できるICカードを導入する方針を明らかにしました。

詳しくはこちら→ 産経新聞 2015年2月20日

市は、LRT(軽量軌道交通)と路線バスの乗り継ぎの円滑化や乗降時間の短縮を目的として、LRTと路線バスの両方で使えるICカード導入を検討していて、LRTの運賃支払いにはJR東日本の「Suica」などが利用できるようにする方針です。
導入にあたっては、初期費用として約10億円、年間の維持費が約2500万円かかると試算しています。

 

交通系ICカード(IC乗車券)は2000年代に入って登場しました。
事前に入金した金額分まで何度でも列車やバスを利用でき、乗り降りや乗り換えのたびに切符を購入したり運賃を支払う手間が省けることから普及が進みました。
残額が不足したら新たに入金すれば継続利用できるほか、クレジットカードから自動的に入金処理を行うオートチャージ機能を有するICカードもあります。
JR東日本の「Suica(スイカ)」や、関東地方で多数の鉄道・バス事業者が参加する「PASMO(パスモ)」など、全国的にさまざまな種類が普及していて、異なるICカードでも相互利用サービスが進んでいるほか、公共交通の運賃支払い以外にも買い物などに利用できる店舗が増えています。

ICカードを導入すると、鉄道の場合、事前に入金しておけば乗車のたびに切符を購入する手間を省けるうえに、ICカードを定期入れや財布に入れたまま改札機や読み取り機にかざすだけで良く、改札口をスムーズに通行できるなどのメリットがあります。

バスや路面電車の場合は、乗客が車内で小銭を両替する手間を省いたり、乗客が一人一人運賃を支払うために長くなりがちだった停留所での乗降時間を大幅に短縮できるメリットがあります。
乗降の記録がデータ化されたことで、鉄道・バス事業者は乗客の動向を詳細に把握できるうえに、他路線や他社線との乗り継ぎ割引制度を設定することも容易になります。


なお、2014年11月から2015年1月に実施した軌道事業者などに対するLRT事業への参画意向調査については、県内外の4事業者から関心を示していることが報告されました。
また、運転士養成などの技術協力については、東急電鉄、富山地方鉄道、京福電気鉄道、岡山電気軌道、広島電鉄の5事業者から協力可能との回答を得ていることが説明されました。
2014年度中を予定していた運行主体などの決定は、現在協議と調整を進めている段階であることから、2015年度に持ち越しとなる見通しです。

芳賀町と共同で優先整備するJR宇都宮駅東側区間と西側区間を接続する際のルートについて、JR宇都宮駅の北側または南側を迂回するルート案、駅中央を通すルート案など、5ルートを想定して検討を進めていることも明らかになっています。