JR九州、交流20,000V対応のハイブリッド電車を2016年秋に導入

JR九州は、電化区間ではパンタグラフを上げて集電しながら大容量バッテリーに充電して、非電化区間ではバッテリーの電力で走行する蓄電池電車を2016年秋に導入すると発表しました。

詳しくはこちら→ 鉄道コム 2014年11月28日報道

JR九州は、2016年秋に1編成(2両)を先行導入して、2017年春に6編成(12両)を追加導入して、筑豊本線の若松~折尾間(若松線)のディーゼルカーを置き換える計画です(http://www13.jrkyushu.co.jp/newsreleaseweb.nsf/9dd28b8cb8f46cee49256a7d0030d2e6/8d35af372f6e9b0049257d9e0000656b?OpenDocument)。

同様の車両は、JR東日本が「EV-E301系」(愛称「ACCUM」)を烏山(からすやま)線に導入しています。
「EV-E301系」は直流1,500Vに対応する車両であるのに対して、JR九州の車両は交流20,000Vに対応する車両となります。

近年のディーゼルカーは高性能化していて、電車との大きな性能差はなくなっていますが、環境負荷の軽減や駆動音の低減、整備性の向上が期待できることから、架線・蓄電池併用のハイブリッド電車に注目が集まっています。
鉄道車両だけでなく、すでに海外ではLRT(軽量軌道交通)や路面電車の車両でも同様の仕組みを採用した車両が実用化されています。
日本でも、川崎重工業の「SWIMO(スイモ)」や、近畿車輛の「omniTRAM(オムニトラム)」などが研究開発中です。

架線・蓄電池併用のハイブリッド電車は、通常の電車やディーゼルカーよりも製造費は割高になります。
しかし、従来の電化工事のような大規模な投資や工事は不要で、非電化路線にある一部の駅構内だけを急速充電用として部分的に電化するだけで済みます。
また、新規にLRTを整備する場合、架線・蓄電池併用のハイブリッドLRV(ライト・レール・ヴィークル=LRT用車両)を導入することで、全線を電化するのではなく、一部の拠点停留所だけ部分的に電化してトータルの整備費を抑制したり、景観を重視する中心市街地は架線レス区間にするなど、さまざまな導入ケースが考えられます。