中国、LRT導入が全国的に拡大

中国各地の都市で、LRT(ライト・レール・トランジット=軽量軌道交通)導入の気運が高まっていて、現在4,000kmを超えるLRT導入が各地の都市で計画されているようです。

詳しくはこちら→ 日本経済新聞 2014年1月11日報道

沿岸部を中心に急速な経済発展を遂げた中国では、マイカーの保有率が上昇し続けていて、都市部では深刻な道路渋滞が発生し、大気汚染が悪化し続けています。
2013年には、新車販売台数が2,000万台を超えています(同年の日本国内の新車販売台数は537万5513台)。

中国ではこれまでは都市内交通の切り札として地下鉄の建設を進めてきました。
しかし、地下鉄建設費は1kmあたり4~5億元(日本円で約70~90億円)かかるため、さまざまなインフラ整備などで地方政府の財政事情が苦しい中、整備が追いついていないのが実状でした。

その点、LRTは地下鉄よりも建設費がかなり低廉で、工期が短くて済むうえ、地表を走るため分かりやすい利点もあり、地下鉄を補完する交通機関として注目を集めるようになりました。
広東省深圳市の中央部・竜華新区では、2014年末の開業を目指して同市最初のLRT建設が進んでいます。この地域は工場と住宅が多く人口増加が続いていて、3路線(計51km)のLRT建設を計画しています。

また、周辺にある広州市、仏山市、珠海市でもLRT建設が計画されています。

これまで中国では、上海市や、遼寧省瀋陽市、大連市などでLRTが導入されています。
現在、同国内のLRT総延長距離は100km程度ですが、今後全土で4,000kmを超えるLRT建設が計画され、2020年までに2,000km以上が整備される見通しです。

中国では、同国内の鉄道車両メーカー大手「中国北車」と「中国南車」がLRV(LRT用車両)を受注、製造してします。
「中国北車」は、トルコ向けのLRV輸出に成功するなど、国内外での市場展開を実現しています。
「中国南車」は、世界的にも有名なドイツ企業「シーメンス」とライセンス契約を締結して、先進技術の導入を進めています。

これまでLRTというと、ヨーロッパ諸国やアメリカなどの導入事例が多かったのですが、最近ではトルコやモロッコなどでも導入されています。
台湾の高雄市では、2015年にLRT一期線(8.7km)が、2019年には二期線(13.4km)が開業予定です。